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調査研究倫理ガイドライン
前文
本ガイドラインは、当社が定める自主規範である。
本ガイドラインは、当社の研究従事者(第3条第8号)に対して適用される。研究上の判断に迷う事案は、本ガイドラインの個別条項に優先して、研究倫理統括責任者および研究倫理監督に相談することを推奨する。
本ガイドラインに違反した研究従事者に対しては、当社の就業規則、契約、関連規程に基づき必要な措置を講じる。労働者である構成員、役員、顧問、業務委託メンバーに係る措置の詳細は、研究不正告発・調査規程第24条の定めに準じる。共同研究者、研究支援人材、再委託先その他07規程第24条の射程に含まれない研究従事者に対しては、共同研究契約、業務委託契約その他の契約上の定めに従い必要な措置を講じるものとし、契約に明示的な定めがない場合であっても、所属機関への通知、損害賠償請求その他正当に行使し得る措置をもって対応する。
第1章 総則
第1条(目的)
本ガイドラインは、当社における人を対象とする社会科学・心理学的な調査研究について、研究対象者の権利および福利を保護するとともに、研究の信頼性および社会的説明責任を確保することを目的とする。
第2条(適用範囲)
- 本ガイドラインは、当社が実施し、または当社の研究従事者が当社の業務として関与する、人を対象とする調査研究のうち、次の各号のいずれかに該当するものに適用する。
- (1) その成果を学術論文または学会発表として公表することを意図する研究
- (2) 配分機関、公募要領、契約、共同研究先または調査対象機関から、本ガイドラインに基づく体制の提示または遵守を求められる研究(公表形態を問わない)
- 本ガイドラインは、心理的侵襲または心理学的介入を伴う調査研究を射程に含む。物理的侵襲(穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、その他の観血的処置等)または物理的介入を伴う研究は、本ガイドラインの射程としない。
- 次に掲げるものは本ガイドラインの適用を除外する。
- (1) 公表済み統計または公開データの二次分析であって、個人を識別する可能性のないもの
- (2) 完全に匿名で実施するオンライン公開アンケートであって、心理的侵襲を伴わないもの
- 第3項各号の研究であっても、後に上記要件を逸脱する事象が生じた場合は、本ガイドラインの対象として遡及的に取り扱う。
- 第3項各号への該当が明白な場合(完全に匿名のオンライン公開アンケートで心理的侵襲を伴わないもの、公開済み統計のみを用いる二次分析等)、適用除外確認メモの作成は要しない。次のいずれかに該当する場合に限り、研究倫理統括責任者は、研究名、判断日、除外理由、個人識別可能性、心理的侵襲の有無、判断者を記載した「適用除外確認メモ」を作成し、第38条の定めに従い保存する。
- (1) 適用除外の該当性に判断の余地がある場合
- (2) 配分機関、共同研究先その他の外部に対し、適用除外の判断について説明責任が生じ得る場合
第3条(用語の定義)
本ガイドラインにおいて、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
- 研究対象者: 当社が実施する調査研究の対象として、研究目的でデータが収集される個人をいう。本ガイドラインにおいては、特に当事者の主体的参加を前提とする文脈では「調査参加者」を併用する。「被験者」の語は、研究対象者の主体性を軽視する含意があるため、本ガイドラインでは用いない。
- 侵襲: 研究対象者の身体または精神に傷害または負担を生じさせる行為をいい、心的外傷に触れる質問、心理的負担を伴う実験的操作、その他研究対象者に精神的苦痛を与え得る行為を含む。本ガイドラインは物理的侵襲を伴う研究を射程としない。
- 軽微な侵襲: 無記名性の確保、回答拒否権の保障、相談・支援先情報の提供等の保護措置により、研究対象者に生じる傷害または負担が、日常生活において被るものを超えない範囲に収まる場合をいう。
- 介入: 研究目的で研究対象者の意識、行動、環境等に対し計画的に働きかける行為をいい、心理学実験における条件操作、教育的介入、提示刺激の操作等を含む。本ガイドラインは物理的介入を伴う研究を射程としない。
- インフォームドコンセント: 研究対象者が、研究の目的、方法、データの取扱いその他参加判断に必要な事項について十分な説明を受けたうえで、研究への参加について自由意思に基づき同意することをいう。
- 明示同意: インフォームドコンセントにおいて、研究対象者が同意の意思表示を能動的に行うこと(同意ボタンの押下、同意書への署名、口頭での同意表明等)をいう。
- 黙示同意: インフォームドコンセントにおいて、研究対象者が回答の返送等の行為をもって同意の意思表示があったとみなすことをいう。
- 研究従事者: 当社の構成員(役員、社員、業務委託メンバー、インターン、非常勤雇用者)に加え、共同研究者、研究支援人材、顧問、再委託先その他、当社の調査研究に従事する全ての者をいう。
- 外部倫理審査委員会: 当社の外部に設置された、人を対象とする研究の倫理審査を行う第三者の合議体をいう。
第4条(改定および運用記録)
- 当社は、本ガイドラインを継続的に見直し、必要に応じて改訂する。
- 本ガイドラインの運用期間中に発生した個別判断事案のうち、(a)先例性のあるもの、(b)判断が分かれたもの、または(c)外部に対する説明に用いる必要が生じたものは、改定の参考材料として記録・保管する。日常的な相談および明白な判断は記録対象としない。
第2章 基本原則
第5条(人格の尊重)
研究従事者は、研究対象者の人格、プライバシー、文化的背景および価値観を尊重する。
第6条(自律の尊重)
研究従事者は、研究対象者の自由意思に基づく参加を確保し、参加・不参加・中断・撤回のいずれも、研究対象者に不利益を生じさせない運用とする。
第7条(無危害)
研究従事者は、研究対象者に生じる心身の負担を最小限にとどめるよう研究計画を設計し、運用する。
第8条(公正)
研究従事者は、研究対象者の選定、調査の実施、結果の公表のいずれにおいても、公正性を確保する。
第3章 責任体制
第9条(研究倫理統括責任者)
- 当社における調査研究倫理の統括責任者として「研究倫理統括責任者」を置く。
- 研究倫理統括責任者は、最高管理責任者をもって充てる。
- 研究倫理統括責任者の役割は次のとおりとする。
- (1) 研究計画の倫理的妥当性の判断および外部倫理審査委員会への付託要否判断
- (2) 外部倫理審査委員会との連絡および付託に係る対応
- (3) 研究実施中の倫理的逸脱・苦情への対応統括
- (4) 研究記録の保存統括
- (5) 重大事案発生時の経営会議および配分機関への報告、必要に応じた調査の停止または中断の指示
第10条(研究倫理監督)
- 当社における調査研究倫理の独立監督として「研究倫理監督」を置く。
- 研究倫理監督は、監事相当職をもって充てる。
- 研究倫理監督の役割は次のとおりとする。
- (1) 研究倫理統括責任者の判断レビュー
- (2) 研究対象者からの苦情・通報の独立受付経路としての一次対応
- (3) 研究倫理統括責任者と意見を異にする場合の経営会議への報告
第11条(自社研究倫理委員会の不設置および将来構想)
- 当社は、現時点において、自社の研究倫理委員会を設置しない。倫理審査が必要な研究は、外部倫理審査委員会への付託により対応する。
- 当社は、将来、機関規模および研究実績に応じて、当社外部のメンバーで構成する研究倫理委員会の設置、ならびに事務局体制の整備を検討する。
第4章 研究計画書とインフォームドコンセント
第12条(研究計画書)
- 本ガイドラインの適用を受ける調査研究を実施する研究従事者は、事前に研究計画書を作成し、研究倫理統括責任者の確認を受ける。
- 研究計画書には、次の事項を記載する。
- (1) 研究課題および目的
- (2) 研究対象者の選定基準および募集方法
- (3) 実施手順および期間
- (4) インフォームドコンセントの取得方法
- (5) データの取扱い(保管、匿名化のタイミングおよび方法、廃棄)
- (6) 公表計画
- (7) 想定される心理的負担および保護措置
- (8) 撤回権の運用(撤回の申し出を受け付けるタイミング、撤回時の処理手順)
- (9) AIまたはLLMを利用する場合は、その利用範囲、ハルシネーション検証手順
- (10) 外部倫理審査委員会への付託の要否および付託先
- (11) 共同研究または受託研究の場合は、主たる責任機関および契約上の取扱い
- 第2項各号をそのままチェックリストとして運用する。研究計画書の正式様式は、運用実績を踏まえ別途整備する。
第13条(インフォームドコンセントの説明事項)
研究対象者に対して説明し、同意を得るべき事項は次のとおりとする。
- 研究の目的および概要
- 実施主体(当社、研究代表者氏名、連絡先)および助成または委託を受けている場合はその主体
- 参加の任意性(参加しないことに不利益が生じないこと、中断および撤回が可能であること)
- データの取扱い。次の事項を含む。
- (1) 保管期間
- (2) 匿名化のタイミングおよび方法
- (3) 公表方法
- (4) AIまたはLLMを用いた処理または分析を行うことがある旨。説明文の冒頭部分では本号の事実のみを簡潔に伝え、利用目的・入力データの種別・個人情報を含む入力の有無・外部送信または国外移転の可能性・人間による検証の実施等の詳細は、別紙、折りたたみ表示またはリンク先の文書において提示することができる。利用するサービスの個別名称までは固定しない。
- 心理的侵襲を伴う場合は、想定される負担およびリスク
- 結果の還元の有無および方法(該当する場合)
- 苦情・問い合わせ窓口(フォームのURLおよび代替の連絡先)
第14条(インフォームドコンセントの取得方法)
- 研究対象者からの同意取得は、調査の形態に応じて次の方法によるものとする。
- (1) ウェブによる調査: 冒頭に説明文を提示し、研究対象者が同意を意思表示するためのボタンまたはチェック操作をもって、明示同意の電子的取得とする。
- (2) 紙媒体によるアンケート: 説明文を同梱し、回答の返送をもって黙示同意とみなす。ただし、本号は、研究が無記名であり、心理的侵襲を伴わず、かつセンシティブ属性の取得を伴わない場合に限り適用する。
- (3) 対面または電話によるインタビュー: 口頭による説明を行ったうえで、口頭による同意の表明(録音記録を残す場合を含む)または同意書への署名をもって明示同意とみなす。
- (4) 観察研究: 公開の場における観察であって個人を識別する可能性が低い場合は同意取得を要しない。個人を識別し得る記述または引用を行う場合は、別途明示同意を取得する。
- 次に掲げる場合は、明示同意の取得を必須とし、黙示同意は認めない。
- (1) 研究対象者を識別し得る情報を取得する場合
- (2) 心理的侵襲を伴う場合
- (3) センシティブ属性(健康、性的指向、宗教、政治的意見、犯罪歴その他研究対象者に重大な不利益を生じさせ得る情報)を取得する場合
- (4) 未成年者を対象とする場合
- (5) 録音または録画を行う場合
第15条(録音および録画)
- インタビュー等における録音および録画は、インフォームドコンセント取得時に独立して許諾を得る。包括的な参加同意による黙示の許諾とはみなさない。
- 同意取得においては、「録音可」「録画可」「文字起こしのみ可」を選択できる方式を採用する。
- オリジナルの音声および映像データは、研究終了後1年以内に破棄することを原則とする。ただし、破棄に先立ち、匿名化された逐語録、分析メモおよびメタデータを作成し、これらは研究データ保存・開示規程の定めに従い保存する。破棄に関する記録は、第38条の定めに従い保存する。
- 配分機関、外部倫理審査委員会その他の正当な要請により、原データの保存が求められる場合は、本条第3項にかかわらず、研究データ保存・開示規程の定めに従い保存する。
- LLM等を用いた自動文字起こしその他の処理を行うことがある旨を、インフォームドコンセントの説明文に含める。
第16条(未成年者の参加)
- 当社は、未成年者(18歳未満の者)を対象とする調査研究を、原則として実施しない。
- 前項にかかわらず、研究目的上、特に必要と認められる場合に限り、未成年者を対象とする調査研究を実施することができる。この場合、保護者の明示同意を必須とし、本人からも年齢および発達段階に応じたアセント(理解と賛意の表明)を取得する。
- 当社は、研究対象者の身体への接触を伴う測定(脳波計の装着、生理反応測定、装着型機器を用いた測定等)を伴う調査研究を実施しない。これらを伴う調査研究の実施が必要となる場合は、本ガイドラインを改訂し正式に条項化する。
第5章 研究対象者の権利保護
第17条(参加の任意性)
- 研究対象者は、調査研究への参加を自由意思により決定できる。参加を辞退することによって、研究対象者にいかなる不利益も生じてはならない。
- 研究対象者は、調査研究の途中で参加を中断することができる。
第18条(撤回権)
- 研究対象者は、自己の回答または提供した情報について、データの匿名化処理が完了する前であれば、いつでも撤回を申し出ることができる。
- データの匿名化処理が完了した後は、当該データの特定が技術的に困難となるため、撤回を受け付けることができない。本項にいう「匿名化処理の完了」とは、対応表(第22条第1項)による対象者単位の抽出または除外を行うことができない状態となること、または研究データが集計化、公表もしくは外部移転されたことにより、当該回答または情報の単位での撤回が技術的または運用上不可能となった状態をいう。対応表が保管されている期間中であって、当該対応表により対象者単位の抽出が可能な間は、本ガイドライン上、匿名化処理は完了していないものとして撤回を受け付ける。
- 公表後の撤回の申し出があった場合であっても、既に公表された研究成果の取り下げまたは修正は原則として行わない。
- 匿名化処理を行うタイミングおよび手順は、研究計画書に定め、インフォームドコンセントの説明事項として研究対象者に伝える。
第19条(同意能力に関する配慮)
- 当社は、本人の同意能力を病名または診断によって判定することはしない。
- 研究の実施中に、研究対象者の同意能力に疑義が生じた場合は、研究計画書に定める手順に従い、当該研究対象者のデータの取扱いを慎重化し、または当該研究対象者を研究対象から除外する。
- 当社の研究は医療診断を目的とするものではない。研究の実施中に、研究対象者の心身の状態に関する重要な事象が示唆された場合は、研究計画書に定める情報提供方針に従い、本人または家族に対し、医療機関等への相談を促す情報提供を行う。
- 未成年者以外の者を対象とする研究において、代諾による同意取得は行わない。代諾を要する研究を実施する必要が生じた場合は、本ガイドラインを改訂し正式に条項化する。
第20条(敏感性が高い研究の取扱い)
- 研究倫理統括責任者は、研究計画の内容に照らして、研究対象者の権利または福利に対する敏感性が高いと判断する場合、研究倫理監督との合議のうえ、外部倫理審査委員会への付託その他の追加的措置を講じる。
- 前項の判断に当たっての参考材料として、研究倫理統括責任者は次の事項を考慮する。ただし、これらは網羅的な列挙ではなく、判断は個別事案ごとに行う。
- (1) 第30条第3号に掲げるセンシティブな属性の取扱いの有無
- (2) 未成年者または同意能力に疑義がある研究対象者の関与の有無
- (3) 心的外傷に触れる質問または心理的侵襲の程度
- (4) 研究対象者と研究従事者との従属関係(雇用、教育、契約上の力関係)の有無
- (5) 高額な謝礼その他、自由意思を歪めるおそれのある誘因の有無
第6章 データ管理
第21条(保管期間)
- 研究データの保管期間は、研究データ保存・開示規程の定めるところによる。同規程との関係において、本ガイドラインは研究データ自体の保存期間を上書きしない。
- 本ガイドラインの適用を受ける研究について、対象者保護に関する記録(インフォームドコンセント文書、適用除外確認メモ、苦情対応記録、終了報告書、外部倫理審査委員会の審査結果、研究計画書、撤回申し出記録、重大事案の対応記録、第15条第3項に定める破棄に関する記録)の保管期間は、研究終了後5年または最終公表後3年のいずれか遅い日までとする。
- 対応表(第22条第1項に定める識別子と研究対象者の対応関係を記録するもの)は、当該研究データの保管期間が経過するまで、第22条第2項に定める方法により保管する。
- 配分機関、外部倫理審査委員会、共同研究先その他の正当な要請により、より長期の保管が求められる場合は、当該要請に従う。
第22条(匿名化)
- 当社は、研究データから個人を識別し得る情報を分離し、識別子と研究対象者の対応関係を別途管理する方式(対応表分離)により匿名化を行う。
- 対応表は、研究倫理統括責任者のみがアクセス可能な領域において、暗号化のうえ保管する。対応表の保管に係る具体的な技術的措置は、別途定める運用基準による。
第23条(保管場所)
- 研究データの電子的保管は、当社が管理するクラウドストレージ上の、アクセス制御およびアクセスログ確認が可能な領域にて行う。
- 個人端末への恒久的な保存は禁ずる。
第24条(廃棄)
保管期間を経過した研究データおよび対応表は、研究倫理統括責任者の管理のもと、復元不可能な方法により廃棄する。
第7章 AI/LLMの利用
第25条(AI利用ポリシーへの参照)
調査研究におけるAIおよびLLMの利用は、当社「AI利用ポリシー」の定めるところによる。本ガイドラインは、AI利用ポリシーの定めに加えて、調査研究固有の事項を以下に定める。
第26条(ハルシネーション検証)
- LLMの出力を分析結果として用いる場合、研究従事者は、当該出力について人間による検証を経るものとする。
- 検証の方法、検証担当者および検証記録の保存方法は、研究計画書に記載する。
- 検証を経ないLLMの出力を、研究成果として直接公表してはならない。
第27条(LLM分析のインフォームドコンセント記載)
- 研究データの処理または分析にLLMを用いることがある旨は、インフォームドコンセントの説明事項として研究対象者に伝える。
- インフォームドコンセントにおける説明は、第13条第4号(4)の定めに従い、利用目的、入力データの種別、個人情報を含む入力の有無、外部送信または国外移転の可能性、人間による検証の実施を、種別レベルで開示する。
第8章 利益相反および公表
第28条(利益相反開示)
- 研究従事者は、学術論文または学会発表として研究成果を公表する場合、当該公表物に利益相反ステートメントを付す。
- 利益相反ステートメントには、研究の助成または委託を受けた主体および当該研究に関連する利益相反の有無を記載する。受託研究の場合は委託元の名称を開示することを原則とし、契約上の守秘義務により禁じられる場合に限り、これを匿名化することができる。
- 学術論文の投稿先または学会が独自の利益相反開示手続を定める場合は、当該手続にも従う。
第29条(公表前の準備)
研究成果の公表に当たっては、次の事項を確認する。
- 研究対象者の個人特定可能性が排除されていること
- 研究計画書に定めた公表計画と整合していること
- 利益相反ステートメントが付されていること
- 共同研究または受託研究の場合は、契約上の公表取扱いに整合していること
第30条(観察研究および公開データ二次利用の段階的取扱い)
公開の場における観察、ならびにソーシャルネットワーキングサービス等における公開投稿の二次的利用は、次の段階に応じて取り扱う。
- 集計的・量的分析であって、個人を識別する可能性のないもの: 研究計画書への記載をもって実施できる。
- 個別の投稿または発言の引用を含む質的分析: 研究倫理統括責任者の承認を要する。可能な限り当該投稿者に対する事後通知に努め、削除の要請があった場合は誠実に対応する。
- 健康、性的指向、宗教、政治的意見、犯罪歴その他のセンシティブな属性を識別または記述するもの: 当該属性の記述により、特定の個人または小集団が識別される可能性がある場合は、原則として実施しない。実施する必要がある場合は、インフォームドコンセントを取得するか、または外部倫理審査委員会への付託を要する。集計的な属性分析または十分に匿名化された属性記述であって、特定の個人または小集団の識別に至らないものは、本号の対象としない。
第31条(共同研究および受託研究)
- 共同研究を実施する場合、主たる責任機関を契約により1つに定める。当社が主たる責任機関の場合は本ガイドラインを適用し、相手方が主たる責任機関の場合は、相手方の規程が本ガイドラインと同等以上の研究対象者保護を確保することを確認したうえで、相手方の規程に従う。両機関の規程の二重適用は原則として避ける。
- 前項の場合において、当社が研究データの処理または保管を行う部分については、相手方の規程の適用にかかわらず、第6章(データ管理)、第7章(AI/LLMの利用)および第35条(苦情・問い合わせ窓口)を当社の研究従事者に対して適用する。
- 受託研究を実施する場合、研究の実施責任は当社に帰属し、データの取扱いおよび公表については委託契約の定めるところに従う。
- 当社の研究従事者が他機関に二重所属する場合の研究の取扱いは、任用または契約の時点で、主として適用する規程を明示する。
第9章 外部倫理審査委員会への付託
第32条(付託の要件)
次の各号のいずれかに該当する場合、研究倫理統括責任者は、当該研究計画を外部倫理審査委員会に付託する。
- 研究成果の投稿先となる学術誌または発表先となる学会が、倫理審査済みであることを要件として求める場合
- 研究費の配分機関(文部科学省所管の競争的研究費等を含む)が、倫理審査済みであることを要件とする場合
- 共同研究先、委託元その他の契約相手方が、契約上、倫理審査済みであることを求める場合
- 調査の対象機関(学校、自治体、企業等)が、倫理審査済みの証明を求める場合
- 研究倫理統括責任者が、研究計画の内容に照らし、外部審査が必要と判断する場合
第33条(付託先)
- 当社は、外部倫理審査委員会への付託先として、業務提携先機関の倫理委員会その他適切な外部委員会から事案ごとに選定する。
- 案件の特性または対象機関の要請により、他の外部倫理審査委員会への付託が適切と判断される場合は、研究倫理統括責任者の判断によりこれを選定する。
第34条(付託のフロー)
- 研究従事者は、研究計画書を整え、研究倫理統括責任者に外部倫理審査委員会への付託を申請する。
- 研究倫理統括責任者は、研究計画書の体裁および本ガイドライン適合性を確認のうえ、外部倫理審査委員会へ付託する。
- 外部倫理審査委員会の審査結果は、研究倫理統括責任者が受領し、研究従事者に通知するとともに、当社において保管する。
- 条件付承認または不承認の場合の対応方針は、研究倫理統括責任者が決定し、必要に応じて研究倫理監督と合議する。
第10章 苦情・問い合わせ/改廃・施行
第35条(苦情・問い合わせ窓口)
- 当社は、研究対象者その他関係者からの苦情および問い合わせを受け付ける窓口として、所定のフォームを設置する。フォームのURLおよび代替の連絡先は、インフォームドコンセント文書、研究計画書および公表物において案内する。
- 苦情および問い合わせの一次対応は、研究倫理監督が担う。
- 一次対応は、苦情または問い合わせの性質に応じ、次の目安に従い行う。
- (1) 重大な苦情(第37条第2項に定める重大事案に該当する可能性のあるもの): 研究倫理監督は、研究倫理統括責任者と直ちに共有し、原則として3営業日以内に一次対応を行う。
- (2) 通常の問い合わせおよび軽微な苦情: 原則として10営業日以内に一次対応を行う。
- 研究倫理監督が当該事案について利害関係を有する場合、または対応が困難な場合は、研究倫理統括責任者が代替受付者として一次対応を担う。研究倫理統括責任者も利害関係を有する場合は、経営会議の判断により別途代替者を指名する。
- 苦情または問い合わせの内容に重大性が認められる場合、研究倫理監督は研究倫理統括責任者および経営会議に報告する。
- 苦情対応の記録は、第38条の定めに従い保存する。
第36条(謝礼の取扱い)
- 当社は、調査研究への参加に対する謝礼を、適正な範囲において提供することができる。
- 過剰な謝礼は、研究対象者の自由意思を歪めるおそれがあるため、これを避ける。研究計画書には、謝礼の金額、研究対象者の拘束時間、社会的相場と比較した妥当性の3点を記載する。
- 前項以外の判断要素(研究対象者の属性、専門性の対価としての妥当性、交通費および実費相当の範囲、自由意思への影響の可能性等)は、別途定める運用基準による。
第37条(終了報告および重大事案)
- 研究の終了時に、研究従事者は、研究概要、対象者数、有害事象の有無、データ保管状況を含む簡易な終了報告書を、研究倫理統括責任者および研究倫理監督に提出する。研究倫理統括責任者は、年1回、経営会議においてこれらを取りまとめて報告する。
- 研究の実施中に、研究対象者の心身に重大な負担または損害が生じた事案、その他本ガイドラインの趣旨に重大に反する事案(以下「重大事案」という。)が発生した場合、研究従事者は、速やかに研究倫理統括責任者および研究倫理監督に報告する。
- 重大事案の報告を受けた研究倫理統括責任者は、必要に応じて当該調査の停止または中断を指示し、外部倫理審査委員会、配分機関および共同研究先に対して報告を行う。
- 停止または中断した調査の再開は、原因究明、再発防止措置、関係者への説明および研究倫理監督の確認を経て、研究倫理統括責任者が判断する。再開条件および判断経緯は記録し、第38条の定めに従い保存する。
第38条(記録の保存)
- 本ガイドラインの適用を受ける各研究について、当社は「研究案件ファイル」を1件単位で整備し、当該研究に関連する各種記録(研究計画書、適用除外確認メモ、インフォームドコンセント関連文書、外部倫理審査委員会の審査結果、苦情対応記録、終了報告書、重大事案の対応記録、撤回申し出記録、第15条第3項に定める破棄に関する記録)を一元的に保管する。
- 前項各記録のうち、苦情対応記録、撤回申し出記録、重大事案の対応記録、破棄に関する記録は、当該事象が発生した場合に限り作成する。
- 研究案件ファイルおよびこれに含まれる記録は、研究終了後5年または最終公表後3年のいずれか遅い日まで保存する。
- 研究データ自体の保存は、研究データ保存・開示規程の定めるところによる。
- 記録の保存は、研究倫理統括責任者の責任において行う。
第39条(規程の改廃)
本ガイドラインの改廃は、最高管理責任者が経営会議の議を経て行う。
第40条(施行)
本ガイドラインは、2026年5月12日から施行する。
制定日: 2026年5月11日
施行日: 2026年5月12日
株式会社七夕研究所
代表取締役 北島 哲郎