われわれが目指すこと / our Mission & Vision & Value
Mission(ミッション)
私たちは、未来を想造する知の集団です。
日本と世界に共通善としての信頼社会を取り戻し、
調和のとれた近未来の実現のために、
賢慮ある個人が織りなす公共圏の健全な発展を再起動します。
そのために、
優れて先進的な「文系」諸科学の知識を、
あらゆる社会・組織・個人に適用します。
イノベーティブな知識を創造し、
社会実装・実用化を通してビジネスとして広く社会に還元します。
Mission(ミッション)の解説
私たちは、未来を想造する知の集団です。
- 想造する:は、想像 Imagine と 創造 Create を合成した社内造語です。
- 想 — 思考実験・仮説構築・ビジョン設計
- 造 — プロトタイプ化・制度実装・事業化
- 研究者が陥りがちな「考えるだけ」を戒めて、「創るだけ」で迷子になる現場主義も戒めて、両者をワンセットで回すスパイラルを標準動作にします。このスパイラルは野中郁次郎「知識創造企業」を意識しており、単なる知識スローガンではなくスパイラル自体が価値を持ちます。
日本と世界に共通善としての信頼社会を取り戻し、 調和のとれた近未来の実現のために、 賢慮ある個人が織りなす公共圏の健全な発展を再起動します。
- 共通善:個別の利益を超え、社会全体にとって不可欠な価値。
- 信頼社会:制度・人・情報への予測可能な期待が成立し、取引コストが低下する状態。
- 取り戻し:かつて“十分あった”とは言わないが、少なくとも「今は摩耗している」という問題意識を示します。
- 調和:利害のバランス/多様性の共存/システムの持続可能性を一語に圧縮。
- 近未来:SF的百年後ではなく、10〜20年程度で検証可能なタイムスパン。
- 賢慮(φρόνησις / phronēsis):知識と行動を統合し、状況判断する実践知。
- 個人が織りなす公共圏:ハーバーマス的 public sphere を前提にしつつ、国家やメディアだけでなく市民一人ひとりの対話ネットワークを強調します。我々は「共和主義」という言葉をこの対話ネットワークの意味で使っており、「議論を恐れるな」というバリューの前提となります。
- 健全な発展:ポピュリズム的過熱やエコーチェンバー化を避け、可逆・学習可能な成長を達成します。
- 再起動:既存の公共圏はバグとレガシーで動作不良なので、ソフトリセットし、パッチ(制度改革・テクノロジー・教育)を当てる……というイメージです。
そのために、 優れて先進的な「文系」諸科学の知識を、 あらゆる社会・組織・個人に適用します。
- 優れて先進的な
- 優れて:質の高さ(厳密さ・汎用性・再現性)
- 先進的:最新知見・方法論のアップデートを厭わないフロンティア指向
これらの表現から、“伝統的人文知”の焼き直しで満足しないという R&D 的姿勢を常に示し続けます。
- 「文系」諸科学の知識を
- 「文系」をカッコ付きで強調します。世間になお残る“文系=役に立たない感覚論”という偏見を逆手に取り、我々はちゃんと文系の科学をやります。
- 「文系」という領域が曖昧であることを逆手に取り、守備範囲にボーダーラインを設けない姿を示します。
- “諸科学” と複数形にすることで、社会学・経済学・認知心理学・政治哲学など 分野横断を宣言します。
- あらゆる社会・組織・個人に適用します
- あらゆる:適用対象を限定しない。
- 社会 → 組織 → 個人:マクロ→ミクロへ階層順に並べ、“制度⇆人間”の両方向を明示。
- 適用:単なる理論提供や講演でなく、課題特定→解決設計→実装→評価まで伴走する意味。
参考文献
Nonaka, I., & Takeuchi, H. (1995). 知識創造企業(The Knowledge-Creating Company: How Japanese Companies Create the Dynamics of Innovation). 東洋経済新報社(Oxford University Press.)
Fukuyama, F. (1995). 「信」無くば立たず(Trust: The Social Virtues and the Creation of Prosperity). 三笠書房 (Free Press).
Yamagishi, T. (1998). 信頼の構造: こころと社会の進化ゲーム. 東京大学出版会.
Habermas, J. (1962/1989). 公共性の構造転換(The Structural Transformation of the Public Sphere (T. Burger & F. Lawrence, Trans.)). 未来社(MIT Press.)
Lewin, K. (1946). Action research and minority problems. Journal of Social Issues, 2(4), 34-46.
Weber, M. (1904/1949). Objectivity in Social Science and Social Policy (E. A. Shils & H. A. Finch, Trans.). Free Press.
Latour, B. (2005). 社会的なものを組み直す――アクターネットワーク理論入門(Reassembling the Social: An Introduction to Actor-Network-Theory). 法政大学出版局(Oxford University Press).
Vision(ビジョン)
私たちは
共通善としての信頼社会に基づき
「文系」諸科学の賢慮に敬意を払い
持続的かつ共和主義的な公共圏を実装し
躍動し健全に発展していく
希望ある近未来社会を
実現していきます
Vision(ビジョン)の解説
「文系」諸科学の賢慮に敬意を払い
〈賢慮=phronēsis〉を 組織文化そのものとして尊重し、理系的効率化が暴走しないための社会的安全弁として取り組みます。
持続的かつ共和主義的な公共圏を実装し
共和主義 (civic republicanism) における自由は「干渉の不在 (non-interference)」ではなく 支配されない状態 (non-domination) です。非支配を保つには、政策や制度を公開討議で正当化し続けるメカニズムが必要になり、これが弊社が大切にする「共和主義的公共圏」です。
弊社が掲げる〈共和主義〉は王の首を刎ねる物語ではありません。
「議論それ自体を君主に据える」ガバナンス設計です。
そして、この一節は「公共圏」をインフラとして組み込む宣言になります。
- 持続的:資金・人材・制度が自己更新ループを持つ。
- 共和主義的:freedom as non-domination と deliberation を両輪とする設計。
Values(バリュー)
Uphold High Ideals 高い理想を掲げよ
Discussion Driven 議論を恐れるな
Realistic Perspectives and Strategies 現実的な視点と戦略を大事にしよう
Be Pragmatic but Scientific 実用的に、だけど科学は忘れるな
Values(バリュー)の解説
七夕研究所のValues(バリュー)は、三角形の中央に立つ 「Uphold High Ideals ― 高い理想を掲げよ」 と、その理想を支える三つの支点から構成されます。
私たちは、まだ見ぬ未来をただ夢見るのではなく、理想を明文化し掲示し続けることで、組織と社会双方の羅針盤とします。
第一の支点 「Discussion Driven ― 議論を恐れるな」。鋭い対話こそが独善を防ぎ、多角的視点を編み込みながら理想を鍛え上げます。
第二の支点 「Realistic Perspectives and Strategies ― 現実的な視点と戦略を大事にしよう」。地に足の着いた制約認識と実行計画があるからこそ、高い理想は絵空事で終わりません。
第三の支点 「Be Pragmatic but Scientific ― 実用的に、だけど科学は忘れるな」。現場で試し、データで検証し、理論へ昇華する。実践と科学の往復運動によって価値は再現性と持続性を獲得します。
この四輪駆動の価値体系が、私たちを「知をもって未来を想造する」行動へと駆り立て続けます。理想を高く掲げ、議論を歓迎し、現実を直視し、科学的に問い直す。その循環こそが七夕研究所の文化であり、社会への約束です。