国会内で開催されたインボイス問題検討・超党派議員連盟の会合に、弊社代表が登壇いたしました

2025年1月28日、衆議院第二議員会館にて開催された「インボイス問題検討・超党派議員連盟」の会合において、株式会社七夕研究所 代表取締役社長でデータサイエンティストでもある北島哲郎が登壇しました。

本会合では、中小企業庁が実施した「インボイス制度導入に係る取引実態調査」の問題点が議論され、北島は調査設計の不備と『社会調査における信頼』の重要性について意見を述べました。
今回取り上げられた中小企業庁による調査に関して、社会調査が国民の信頼を基盤として成り立つものであることをデータサイエンティストの立場から強調し、回答フォームが誰でもアクセス可能な状態で公開されていた点や、設問の設計に統一性が欠けていた点など、調査の信頼性に重大な懸念があることを指摘しました。また、アンケートの回答方法における工夫が不足していたことについて、行政が実施する調査として不適切であると批判しました。さらに、「国民が社会調査に協力する意欲を保つためには、調査結果が政策に適切に反映される信頼性の高い設計が不可欠である」と述べ、国の調査事業における改善の必要性を訴えました。
本会合では、超党派議員や専門家、市民グループが再調査実施に向けた意見を交わしました。
七夕研究所としては、今回の集会が契機となり、統計法に基づかない社会調査の精度向上が図られること、そして社会調査やアンケートの重要性が国民に広く認識されることを心より期待しております。また、今後も正確で信頼性の高い社会調査を通じて、日本社会の活性化と政策立案に貢献してまいります。
意見全文
以下、議員連盟の会合にて代表が発言した意見の全文を記載します。
株式会社七夕研究所代表の北島と申します。
主に社会調査の領域でお仕事を頂いており、主要な実績としては、日本アニメフィルム文化連盟、通称NAFCA様の社会調査を担当しております。この調査がもとになり、国連の「ビジネスと人権」委員会が、日本のアニメーターは奴隷状態にあると、日本政府に対して勧告を行いました。
アニメ業界については、先行の調査もありましたが、それらは様々な理由から実態を反映する調査とはなっておりませんでした。おそらく日本の様々なところに、実態を反映していない統計的な社会調査があるものと考えております。
本日は、令和5年度および令和6年度に経済産業省 中小企業庁さまで実施された「インボイス制度導入に係る取引実態調査」を踏まえまして、社会調査に取り組む弊社から、日本国民の民主的代表であります国会議員のみなさま、そしてそのスタッフのみなさま、日本社会を構成する市民のみなさまに向けてお願いしたいことを三点お話しさせていただきます。よろしくお願いします。
第一に。社会調査は、社会のみなさまの信頼があってこそ成り立つものです。この信頼を損なうことは絶対に許されません。
社会人は忙しいものです。
忙しい社会人が報酬なしでアンケートに答えるには、その調査の結果が有効に使われるという期待が、社会的に合意されている必要があります。言い換えますと、国の調査に信頼がある状態では、国民は「調査に答えれば、その調査元が、何らかの解決に向けて動いてくれる」という前提を持っています。
振り返って今回の調査を考えてみると、調査のホームページに記載されているメールアドレスは間違っていました。アンケートの質問文ではスペースの有無が統一されておらず、プロフェッショナルな意識に欠ける部分がありました。このような公的アンケートは信頼できるでしょうか?
調査の呼びかけに対してアンケートに答えようという意識の高い国民から見れば、真剣度が疑われても仕方ないと思います。
第二に。社会調査の結果は信頼できるものでなければなりません。
今回の調査は、ランダムに選ばれた企業に、Google Formが送られる形で実施されました。つまり、URLのアドレスさえ手元にあれば、パスワードなどの入力は求められない設計になっていました。とすると、いたずら目的の回答が入り込む可能性が否定できません。もちろん実際には、調査それ自体の信頼を棄損するような大量のいたずら回答が来ることは、まずありません。
しかし、その可能性が否定できないことが問題なのです。しかも、今回のケースでは、回答番号を付与するなど、ちょっとした工夫でそれを防ぐことが出来ました。やるべきことをやっていないのは問題です。社会調査は、国民の信頼をベースに実現するものです。
正しい回答を記入してくれる国民に対しては、正しい方法で調査が行われるべきです。そして、そのような調査こそが、本来、正しい調査結果に基づく、適切な政策につながっていくのです。
第三に。これは、国会議員の皆様へのお願いです。
国の調査事業である以上、たとえ民間に運営を委託したとしても、政治がきちんと手綱を握り、統制を行ってください。
データサイエンティストとして、率直に申し上げますが、国の調査事業であっても、統計法に基づかない調査では、その設問の質や調査方法が大変ずさんなもの、言い換えると、学術的な論文には到底使えないような調査が少なくないと感じています。
今回のインボイスに関する調査は、国権の最高機関であるこの国会のなかで、このように超党派で議論がされているレベルの国政の重要課題について正確な議論を行うために、行政が民間に委託した調査です。そのアンケートがこの品質というのでは、私もひとりの国民として、とても悲しいです。
今回の調査ホームページにおけるメールアドレスの誤りは、委託業者ではなく中小企業庁での作業ミスだと伺っています。人間のイージーミス、ヒューマンエラーほど防ぐことが難しいとは言いますが、本件が行政の調査全体が見直されるきっかけとなることを、国民のひとりとして切に願っております。
本日は、社会調査に取り組むチームを率いるデータサイエンティストとして、発言の機会を賜り、ありがとうございました。
弊社は、今後も社会調査を通して日本の活性化と発展に貢献してまいります。本日はご清聴いただき、ありがとうございました。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社七夕研究所
Email: inquiry@tanabata-inst.com
■株式会社七夕研究所について
七夕研究所は、自由な発想と広範な視野を持つ「文系」分野の研究を活かすとともに、「理系」の技術力を駆使することで、最先端の未来を切り開く民間の研究組織です。研究の成果を具体的な社会実装につなげ、ビジネスの領域で実践することにより、お客様に最適なソリューションを提供します。
本社所在地:神奈川県小田原市
代表者:北島 哲郎
設立:個人事業として 2021年7月1日
法人登記 2023年7月7日